飲めれば何でもいいわけじゃないんだぜ

夜の中野



酒は絶対に出先で飲む方がうまい。
薄明りの中で飲むのがいい。
カウンターだと尚更いい。


気の利いたつまみが2、3品あればいい。
音楽はよく知らない国のすかしたカンジのがかかってるといい。
どうせ途中からは聞こえてないし。


ダーツとかビリヤードとかそんなのいらない。
酒とがっぷり四つになれればいい。


客はカウンターにもう1組とテーブルに1組くらいがいい。
マスターはほとんど話しかけてこずにグラスばっか磨いてるといい。
ほとんど話しかけてこないけど、酒の事になると、もういいよって言うくらい
話し続けちゃうカンジがいい。


昔つきあってたフィリピーナの名前のついたカクテルとかつくっちゃう人なら
サイコーにいい。


店は地下がいい。
すごく細い階段を降りて、重い扉をあけると店がある。
入り口のドアにはカランカラン鳴る鈴がついててほしい。


たまにキレイなオンナの人が1人で来て、ジントニックを1杯だけ飲んで
帰ったりするとすごくミステリアスでいい。


「おかわり。いや、ごめんなさい。やっぱりお勘定で」とか言ってくれると
もう最高にたまらない。


そんな店で夜な夜な飲みたい。
なんならいつか、そんな店をやりたい。